心疾ければ

 数十年ぶりの帰郷。新幹線と在来線を乗り継いで地元の駅に着き、閑散としたホームへ降りると、久しく忘れていた東北の寒さ。ふと線路を挟んだ向こう側の改札へと渡る階段へ目を向ければ、その手前に、眩しいほど白いペンキ塗りの扉が空間に切り取られたようにぽつねんと佇んでいた。そして思い出の生家を辿り、不思議な守人との出会いを経て返された。“かつて、わたしは――”。

【文学 異世界】


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